似顔絵写楽サービスとは
著名人のパブリシティ権と描画許諾申請業務について
本団体は著作権管理団体として、似顔絵師、イラストレーター、画家、漫画家、版画家、書家、彫刻家、その他の著作者の持つ著作権の管理事業を行うとともに、団体加入の著作者に対し、有名人の肖像の描画等の許諾、すなわち有名人の持つパブリシティ権の使用の許諾申請業務を行うことを予定しております。
パブリシティ権とは、法律上明文の規定はありませんが、判例上「著名人がその氏名、肖像その他の顧客吸引力のある個人識別情報の有する経済的利益ないし価値(パブリシティ価値)を排他的に支配する権利」と定義され、法的に保護すべきものとされています。つまり、著名人の氏名・肖像は、コマーシャルに利用することなどにより商品の販売を促進する力を有しており、これを第三者が無断で使用することはできないとされているのです。
パブリシティ権が最初に認められたのは「マーク・レスター事件」判決(東京地裁昭和51年6月29日)です。この事件は、英国の子役俳優マーク・レスターの出演映画の一部が、本人の承諾を得ることなく商品のテレビコマーシャルに利用されたことについて、マーク・レスターがコマーシャル制作会社等に対し、氏名権および肖像権の侵害にあたるとして不法行為にもとづく損害賠償を求めたものですが、東京地裁は「俳優等は、自らかち得た名声のゆえに、自己の氏名や肖像を対価を得て第三者に専属的に利用させ得る利益を有している」として、その侵害行為に対する損害賠償を認めました。
元「おニャン子クラブ」のタレント五人が、写真や名前入りのカレンダーを無断で製作・販売されたとして制作・販売会社を訴えた「おニャン子クラブ事件」判決(東京高裁平成3年9月26日)では、東京高裁は「当該著名人に属するパブリシティ価値を無断で使用する行為は不法行為を構成し、当該著名人は……損害の賠償を求め得るとともに、パブリシティ権に基づき、販売の差止めなど侵害の防止を実効あらしめるための行為を求めることができるものと解せられる。」と述べました。
最高裁も「ピンク・レディ事件」判決(最高裁平成24年2月2日)において、「人の氏名、肖像等は、個人の人格の象徴であるから、当該個人は、人格権に由来するものとして、これをみだりに利用されない権利を有すると解される。そして、肖像等は、商品の販売等を促進する顧客吸引力があり、このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(パブリシティ権)は、肖像等それ自体の商業価値にもとづくものであるから、上記の人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。」と述べました。
いずれにしても、著名人の写真や肖像画を無断で使用したり、あるいは商品化して販売したり、無料であっても譲渡したりすることはパブリシティ権の侵害となり、損害賠償請求や差止請求を受ける可能性があります。
似顔絵についても、個人的に描いたり、楽しむのだけであれば問題はありませんが、それを印刷物やホームページ、その他の媒体に使用したり、配布したり、譲渡、販売する場合には本人の承諾を得る必要があります。
一般財団法人日本似顔絵師協会は、著名人と個別に折衝して似顔絵の制作、販売、商品化等の許諾を得、会員に許諾を受けた条件の下で似顔絵の制作等していただくサービスを計画しております。
協会は希望する会員と「管理信託契約」と「パブリシティ権の利用契約」を締結して、契約会員の著作権管理、著作物の管理を行い、第三者への著作物の譲渡、売却、使用料徴収などを行う予定です。